外階段の2世帯住宅に内階段を

もともとは外階段で完全独立の2世帯住宅でしたが、一階のお母さまがご高齢になり、介護のため頻繁に行き来しなければならないようになり、またお父様が他界なさった後、空いた部屋をリフォームして子供部屋にしたりと、外に出なくても上下階をつなげる階段が必要になりました。

ただ、建物がそのような状況を想定して設計されていないので、後から階段を作るのは構造的にも間取り的にも無理がありました。でも内階段をあきらめきれないと仰るお施主様、大工さんと一緒に図面とにらめっこして、床を部分的に剝がして確認しつつ、ここならばという場所に必要な補強を施しつつ、スペースを取らない梯子を設置することにしました。

大きな荷物を持っての昇り降りはできませんが、それでも日常的な行き来はずいぶん楽になりました、と喜んでいただけました。
また実際使ってみると、梯子につかまりながらの昇り降りは階段より安定感があり、足腰への負担も少なく楽な感じがする。距離も短いので短時間で昇り降りでき忙しい時に助かる。との事。苦肉の策でしたが、意外にも使い勝手は悪くないとの事です。

梯子はロフト用の既成のものを使い、二階の出入り口には造作の跳ね上げ式の折戸をつけています。照明は人感センサー付きのもので、人が近づくと点灯するので、夜でも安全です。

完全独立の2世帯住宅は理想的ですが、長い年月の間に家族の状況には変化も生じます。階段は家の構造にかかわる部分なので、どの建物でも同じやり方ができるというものではありませんが、知恵を絞れば何かしら解決方法が出てくることがあります。
まずは専門家に相談してみてください。